「金利はゼロ同然だから、どこに預けても大差ナシ」というのは誤解。巷の100倍、200倍の金利を提示する銀行を選んで物価上昇のダメージを和らげよう。2022年12月5日号の記事を紹介する。
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1990年代後半以降、銀行預金の金利はゼロに限りなく近いので、どこに預けていても結果は同じと思っている人が多いことだろう。確かに、メガバンクをはじめとする多くの銀行が1年満期の定期預金に適用している金利は0.002%で、100万円を預けて得られる利息はわずか16円にすぎない。
だが、その陰で他行よりもはるかに高い金利を提示している銀行は実在している。同じ1年満期の定期預金に0.21%の金利を適用している銀行がある。ここなら、1年で1674円の利息がつく。つまり、その差は100倍超なのだ。
そのうえ、多くの銀行が0.001%を提示している普通預金の金利においても、その200倍に相当する0.2%を付与するところがある。値上げラッシュが続き、現金の実質的な価値が低下しているだけに、この差は絶対に見逃せないだろう。
もっと金利が高くても預貯金の利息ではインフレに勝てないと言われるが、無策のまま“ほぼゼロ金利預金”に預けているケースと比べれば、高金利預金に預け換えた人は物価上昇のダメージを緩和できるはずだ。
5年満期の定期預金になると、さらに高い金利を提供する銀行が出てくる。0.28%のオリックス銀行で、5年後には1万1127円の利息が得られる。
■デジタルバンクも台頭
もっとも、ファイナンシャルリサーチ代表でファイナンシャルプランナーの深野康彦さんは次のような見解を示す。
「日本銀行の黒田東彦総裁が来年4月に任期満了となり、トップの交代に伴って金融政策が軌道修正される可能性もあります。金利にも若干の影響が及ぶ可能性もあるので、長くても1年満期のもので当面は様子を見るのが一考かもしれません」
もちろん、大幅な金利上昇は見込めないと考えれば、5年満期で0.28%の金利を享受するのもアリだと言えよう。高金利をつける普通預金と定期預金の具体例は、一覧表の通りだ。社名にauや楽天、オリックスといった耳慣れた固有名詞が用いられているところは資本関係を想像できるが、他はピンとこないかもしれない。