こうした炎症反応は、本来私たちの防衛反応の一種です。ワクチンで免疫を獲得し抗体を作っていく際にも、それが準備段階として働きます。
――ワクチン接種後の副反応が起こりやすいのはどういう人ですか。
若い人のほうが、より強く免疫反応が起こります。ワクチンがしっかり抗体を作ろうと働くからです。炎症反応が高齢者よりも出てしまいますが、その分、得られる効果も高齢者よりも高いです。男女別では、若干女性のほうが免疫反応が強く出る傾向がみられます。さらに痛みには主観的な部分があり、ワクチンに対して不安感を抱いていると強くなることもあります。緊張して接種に臨むと、より痛く感じることがあるのです。
――6月末時点で厚生労働省が発表した成分(アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェン)ならば、処方せんなしで、どれを購入しても大丈夫なのでしょうか。
どれも一般的によく使われる解熱鎮痛剤であり、どれを使っても構いません。買い置きの薬や、過去に処方された薬がある人は、改めて購入する必要はなく、あるものを使えば結構だと思います。
もしどれかを選べるなら、副作用が出にくいアセトアミノフェンが第一選択になるでしょう。アセトアミノフェンには解熱・鎮痛の作用はありますが、炎症を強く抑える効果はありません。ワクチンの副反応は無駄に出ている炎症ではないので、それを強く抑える必要はありません。でも、おそらくそうした理由によって薬局でアセトアミノフェンが品薄になってしまったので、厚労省が他の成分でも問題ないと発表したのだと思います。アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤に対する副作用を心配する人もいますが、使ってもせいぜい1日、2日くらいのことですから、それほど心配しなくても大丈夫だと思います。
痛みがあったり発熱したりしたら必ず使わなければならない薬ではありません。あくまでも、痛みや熱のために、日常生活に支障をきたすようであれば服用する、という程度に考えておいてください。