NPBは日程を五輪に合わせ公式戦を中断するなど協力なバックアップ体制を整えている。全力で勝ちに行く姿勢を見せているが、他国との温度差があるのも事実。野球競技は参加国(日本)からの要望で追加種目となった経緯もあり、米国をはじめ多くの国々は五輪の野球種目を冷ややかな目で見ている部分もある。コロナ禍ということもあり出場を辞退する国も続出しており今大会参加するのは6チームだ。
「米国やドミニカ共和国、メキシコはマイナーリーガーやNPB所属選手ばかり。MLBが選手の派遣を認めていないから当然です。オーストラリア、台湾は五輪予選を辞退した。コロナ禍が未だ収まる気配がない日本行きに難色を示した選手も多かった。正直に言えば金メダルは形式的なものと言える」(MLBアジア地区担当スカウト)
取り巻く状況が盛り上がりにかける要因の1つだ。しかし自国開催での金メダル獲得をリアルタイムで体感できるのは何より大きい。球界最強布陣で最高の野球を見せて欲しい野球ファンも多かったはずだ。しかしメンバーの顔触れも多くの人のモヤモヤ感を増幅させてしまった。
「19年のプレミア12で世界一になった際の選手をベースにするのは理解できる。しかし今季の調子が上がらない選手も含まれている。短期決戦なのでハマれば良い方向へ行くだろうが逆もありうるので不安はある。稲葉篤紀監督はコミニケーションを大事にするので、家族的雰囲気を大事にしたいのもあるだろう」(NPB関係者)
選手選考に関して疑問を投げかける人は多い。故障明けの先発右腕・千賀滉大(ソフトバンク)はNPBでの最後の登板(7月6日、ロッテ戦)で3回途中10失点と炎上している。抑え候補の山崎康晃(DeNA)は昨年不調に陥るなど、かつてのような安定感はない。主軸を務めると見られている鈴木誠也(広島)も勝負弱さが度々指摘される。メジャー帰りの田中将大(楽天)も絶対的な信頼を感じられない。
投手では宮城大弥(オリックス)、柳裕也(中日)、松井裕樹(楽天)、打者では岡本和真(巨人)など、今季の調子を見て選ぶべきだったのではという声も聞こえる。仮に今回選考に疑問があるとされた選手たちが活躍できず金メダルを逃した場合は、間違いなく批判を受けることになるだろう。