馬渕:えー! 全然知らなかったです。初めて聞きました。

宇津木:マブは北京入りしてから4番を任され、初戦ですぐスリーラン(3点本塁打)を打って、しっかり結果を残したよね。上野の起用もそう。上野が所属するルネサスエレクトロニクス高崎(現ビックカメラ高崎)で監督もしていた麗華は、決勝で3連投するかどうかのとき、「上野と心中しろ」と言っていた。助言がみんな的中しているわけです。目利きがすごい。

馬渕:北京五輪で打席に入ったとき、「いけるな」と思えたんです。前日緊張して寝られなかったんですけど、試合当日の朝、ランニングしていたときに「緊張して結果が出せないことほどもったいないことはない」と考えたら、ふっと緊張が取れた。

■いい子じゃ勝てない

宇津木:それはやっぱり自信だよね。マブはアテネ五輪で代表落ちして、悔しさからはい上がってきた。努力は必ず報われるし、それをどう自信につなげるかということが大事。

 麗華は監督として大胆でありながら繊細さもある。上野は北京の後、燃え尽き症候群のようになってモチベーションが保てなかった時期が長くあった。そんな上野に、麗華は守りをさせたり、バッティングをさせたり、いろいろとチャレンジさせ、ここまで引っ張ってきた。私が監督だったら、「何、わがまま言ってんだ、もうやめろ」と言ってたね(笑)。

(構成/編集部・深澤友紀)

AERA 2021年8月2日号に加筆

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?