北京五輪を最後に実施競技から外れたソフトボールが13年ぶりに大舞台に戻ってきた。元日本代表監督と北京五輪金メダルメンバーが東京五輪の代表選手にエールを送った。AERA 2021年8月2日号の記事を紹介する。
【写真】「あのときで野球人生が終わったとしても…」と明かした選手は?
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2008年北京五輪以来の実施となる東京五輪のソフトボールで、世界ランキング2位の日本は「上野の413球」で知られるエース・上野由岐子(39)を軸に奮闘する。24年パリ五輪では再び実施競技から外れたこともあり、選手たちの今大会に懸ける思いは強い。7月21日のオーストラリア戦、22日のメキシコ戦は上野が先発し2連勝した。24日はイタリアに、25日はカナダに勝利し、27日の米国との決勝に進んだ。
今大会前、日本代表監督として00年シドニー五輪で銀メダル、04年アテネ五輪では銅メダルを獲得した宇津木妙子さん(68)と、北京五輪で4番打者として活躍した馬渕智子さん(39)が、北京での秘話や東京五輪メンバーへの期待、ソフトボールの未来についてオンラインで語り合った。
■ソフトボール界のため
──今大会では13年越しの連覇を期待されています。
宇津木:選手、監督はものすごいプレッシャーだと思います。自国開催に加え、次の五輪はないから余計に東京五輪に懸ける思いは強い。コロナ禍で五輪開催に反対する意見もあって、「こんな中でやっていいのか」という複雑な思いもある。このあいだ、代表チームに話をしに行ったときは、「みんなには代表として戦う責任がある。ソフトボール界のために集中して全力プレーをやってほしい」と伝えました。
馬渕:13年という歳月は本当に長いです。私は早々に引退したけど、北京で一緒に金メダルをとった上野選手、山田(恵里)選手(37)、峰(幸代)選手(33)が今も第一線で戦っていて尊敬しかありません。きっと、自分がもう一度五輪に出たいという思いだけではなくて、ソフトボールをもっと普及させたい、ここで日本のソフトボールを終わらせてはダメだといった思いがあったのだと思います。