宇津木:上野なんか、二十数年間もずっとトップで走っている。本当にすごい選手だと思います。投球技術もすごいけど、自分を持っていて崩れない。ホームラン打たれて、「なんであのボール投げたの?」と聞いたときなんか、「キャッチャーが要求したから」。開き直れる強さがある。
馬渕:今のジャパンですごくいいなと思うところは、ベテランも若い選手もいて年齢層が厚いところ。連覇のプレッシャーはベテランに任せて、若い子たちには思い切りプレーしてもらえたらいい。
宇津木:代表選考までは個の評価だけど、選ばれたらチームの力。北京では「上野が投げて私たちが守るんだ、打つんだ」という強い一体感があった。
馬渕:北京のときは戦うごとにチームに一体感が増していきました。短い期間でチームがどんどん変わっていったんです。
宇津木:(ベンチ入りの)15人が一つになるのは本当に難しいこと。それに、北京では決勝トーナメントはページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)だったから予選を4位以内で上がればよかったけど、今回は予選リーグの上位2チームが決勝に進むので、金メダルを狙うには最大のライバル・アメリカ戦の前には1試合も落とせない。大変なプレッシャーだと思う。
■勝負勘がいい麗華監督
──中国出身の宇津木麗華監督(58)は妙子さんのプレーにあこがれて1988年に来日。32歳で日本に国籍を変更し、「私が宇津木姓を有名にします」と頼み込んで宇津木姓を名乗るようになったそうですね。30年以上そばにいる妙子さんから見て麗華監督はどんな指導者でしょうか。
宇津木:指導者としては根っからの勝負師で大胆さがある。勝負勘もすごくいい。北京では麗華は代表チームではなかったけど、当時の斎藤(春香)監督(51)とよく電話で話していて、実は「4番・馬渕」も麗華が決めたんだよ。(代表監督になる前に)斎藤監督は日本リーグの日立ソフトウェアの監督をしていて、マブはそのチームで4番バッターだった。麗華は「自分のチームで信頼できる人を4番に置いたほうがいい」って。