上野:はい。えー、そうですね。まあやっぱり投げていて自分のボールでアメリカ打線、そういう強打者たちを抑えていく面白さだったり、また投げていく中でもっともっと新しい感覚が芽生えて、もっとこうやって体を使ったらもっといいボールを投げられるんじゃないのかなっていうのに気づけることが、私の向上心をそそるし。そういう思いでたぶんそういう言葉が出ちゃったんじゃないかなって思います。
ソフトボールという競技は、年齢も関係ないし、体の大きさだったり(も関係なく)、本当に誰でも楽しめる、誰でも何かを生かせるところがある競技の一つだと思うので。そういった意味では、投げることもひとつですし、(藤田)倭選手みたいに投げて打ってもっと楽しいことを感じられるスポーツでもあると思うので、そういったところがソフトボールの楽しいと思えるところじゃないかと思います。
――39歳で勝つということと26歳で勝つことの違いは?
上野:そうですね。感覚的には、全然違いました。やっぱり北京オリンピックのときは、とにかく投げることで必死でしたし、力というか、何球でも投げられる、そういう思いで投げていたし、今はどっちかというとみんなに助けてもらいながら投げている感覚。その中で自分のやれること、やるべきことを全うしていく。そういった意味では全然投げている感覚も違うし、年相応の知識だったり、そういったものも加わってピッチングができているんじゃないかなと思います。
――そういう意味で若いピッチャーだった頃に比べてどういう違いが?
上野:そうですね。今のほうが単純に省エネピッチングです(笑)。いかに楽に、しかもしっかりゲームをつくってバッターを抑えることができるか。アウトを取るのは三振がすべてじゃないということを踏まえながらピッチングができているんじゃないかなって思います。
――藤田選手に質問。今日のアメリカ投手の投球については。
藤田:今日は、あのー、アボット投手は日本リーグでも登板しているピッチャーなので、日本にいる年数、自分自身と同じ年数日本でプレーされているので、球筋はわかっていたので、とにかくボールの回転的にはライズの上のボールを打ったと思うんですけど、それよりも気持ちでは絶対引かないという思いで打席には立ってましたね。ボールのスピンはいつもと変わらない感じでしたね。
――監督と上野投手へお尋ねします。試合が終わったあとにおふたりで涙を流して抱き合っていましたけど、お互いそれぞれどんな思いだったのでしょうか。どんな言葉をかけたのでしょうか。
宇津木:私自身、「ありがとう」という、「本当によくがんばった」という言葉をかけました。いままで日本を引っ張っていってくれた。そういう感じで伝えました。
上野:麗華監督から「ありがとう」という言葉をかけていただいたので、「むしろ、いろいろ迷惑をかけてすみませんでした」という言葉を返しました(笑)。
(編集部・深澤友紀)
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