※写真はイメージ(gettyimages)
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AERA 2021年8月9日号より
AERA 2021年8月9日号より

「生活感のない部屋」に憧れてはいませんか? 続くコロナ禍でおうち時間の重要性が増したいま、目指すべきは、親世代が暮らす実家ならば「安心・安全」で「夢がかなう」家。AERA 2021年8月9日号は「リモート片付け」特集。

【シニアがハッピーになる「片付け」の5カ条はこちら】

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 実家の片付けは、具体的にどう進めていくのが正解なのか。

 個人宅や企業内での整理収納コンサルティングを行う古堅純子さんが提唱するのは、「ライフラインの確保」「生活動線の見直し」「ものを寄せる」「空間をつくる」「使うものは出しておく」という5ステップだ。

「一般的に、高齢者が持っている物の数は半端ではなく、物の処分にこだわっていれば、いつまで経っても終わりません」(古堅さん=以下同)

■どう暮らしたいか

 子どもが積極的に「不要品」を捨て片付いたとしても、長年、愛着のある物が処分された老親が幸せに暮らせるとは限らない。古堅さん流の老親向け片付けメソッドは「物を捨てない」「物より空間を大切に」が二本柱だ。

 以前、こんなケースがあった。離れて暮らす娘(60代)からの依頼で、3LDKのマンションに住む80代の両親の家を訪れた時のことだ。リフォームをきっかけに、娘はいらない物を捨てるべく両親の家に通い詰めており、すでに散々、物を捨てた後。しかし、どの部屋もまだ物が多く、「今残っている物はどれも捨てたくない」という両親と、「今後ヘルパーさんに来てもらうことを考えると、片付けなければ」という娘とで口げんかが絶えない状況だった。

 実は、「片付けた後の家でどんなふうに暮らしたいか」は実家の片付けで軸にすべき最重要ポイントだ。古堅さんは、両親それぞれに「何をすることが好きか?」と質問した。父親はパソコンが好きで、母親はアートフラワーや人形作りなど多趣味。そこで「部屋を掃除するために、いったん物を寄せましょう」と提案し、1部屋を物を寄せる「物置部屋」にし、残りの2部屋を物がない「更地」にした。そして、「更地」の1部屋を父親の寝室兼書斎にし、パソコン用品を設置。もう1部屋は母親の寝室にし、物置部屋にした部屋は、家中に点在していた多趣味の母親の道具類や作品を1カ所にまとめて飾れる空間にした。

「すると、今まで『何も捨てたくない』と言っていたのが、急に『あれもいらない、これもいらない』と言い出したのです。自分の好きなものばかりが集まる空間ができ、より理想の部屋に近づけたいという意欲が湧いてきたのでしょう」

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