だからこそ、読書感想文で賞をとるかどうか、評価されるかどうかよりも、まず、どんな本を選んで、いかに本を好きにさせるか、がポイントになるわけです。

■親が「子どもに読ませたい本」を渡す

 本を選ぶにあたり、だいたいの人は、学校から推薦された本を参考にするでしょう。

 息子の学校でも、学年ごとの推薦図書が載ったプリントを渡され、「この中から選ぶか、または自分で選んだ本で感想文を書きましょう」と書かれていました。

 親としては、「その中から子どもが一番興味を抱いたものにすればいい」と思うかもしれません。

 しかし、子どもが直感で、「面白そうだ」と感じても、実際はすごくつまらなかった、という結果になる可能性はおおいにありえます。

 そしてやはり、学校が「良し」とした本を選ぶことは、内容が制限されやすくなります。

 人は、「選択肢が多すぎると何も選べなくなる」という「選択のパラドックス」という性質があるので、ある程度は読むべき本をピックアップしてくれるのは、「何を選んでもいい」といわれるより親切なシステムであるとは思います。

 ただ、子どもにとって、何も心に響かない「ハズレ」をひいてしまうリスクもでてくるわけです。

 それを避けるために、読んだことがない本の中から選ぶのではなく、親が、「子どもに読ませたい本」を渡すのがベストではないでしょうか。

 できれば、子どもが読みやすい、「エンターテインメント性があり」「心が動かされ」「最後に泣ける」読後感がよいものを私はおすすめしたいです。

■1冊の本がきっかけで本が好きになる

 私は、中学生のときに読書感想文の宿題のために選んだ小説が、本当に運よく、そういった内容の本でした。

 三浦綾子さんが書いた、『塩狩峠』という本です。

 最初は、宿題なので少しつまらなくとらえていたのですが、読んでいくにしたがい、どんどん話の内容にのめり込み、主人公と一緒になって不安になったり怒ったりしながら、ラストでは号泣してしまいました。

 そして、本とはこんなに心を揺り動かしてくるものなのかと、180度、見方が変わったのです。それ以来、本を読むことが好きになり、図書室にも通うようになりました。

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