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夏休みの宿題の定番である「読書感想文」に対し、「どのように書くとよいか」とアドバイスする記事を、ネット上で頻繁に見かけるようになりました。
たとえば、「あらすじだけを延々と書かないこと」とか、「感想とともに自分の経験を取り入れる」、などなど。
こういった「どのように書くか」という記事は、つまりは「どのように書くと賞をとりやすいか」ということにつながっているように感じます。
■本を読むことは人生を豊かにする
もちろん「賞をとる」という目標は、宿題である読書感想文を書くことへのモチベーションを上げてくれるでしょう。
ただ、「こういうふうに書かなくては」とこだわり、書き方を制限してしまうことは、好きなことを書く自由を奪うことにもつながります。それにより、子どもが本を嫌いになる……とまではいかなくても、「本に向き合ううえでの義務感」のようなマイナスの感情を抱いてしまう可能性は否定できません。
私は、読書感想文では、「上手な文章を書く」行為よりも「良い本にめぐり合わせる」機会に焦点をあてるとよいのではないかと思っています。
そのほうが読書にポジティブな印象をもたせやすく、長い目で見て子どもにとって有益なことになるのではないでしょうか。
本をたくさん読むことは、確実に自分の人生を豊かにします。
たとえば「実用書」は、著者が何年もかけて編み出した便利なワザや、発見、気づいた法則などが書いてあるわけです。それをほんの数時間で、自分の知識に加えてしまえるわけです。
「小説」も、フィクションとはいえ主人公の人生を追体験できるのです。ほんの少しの時間で、ギュッと濃縮された人生を自分の中に取り込めるのですから、こんなにお得なものは、そうそうほかにないでしょう。