「『スノーボードをやっているから、スケートボードがうまい』なんてことは一切ない。例えて言うと、野球とバスケを両立するのと一緒。これからめざす子たちと変わらない気持ちで、スケートボードっていうものを考えているつもり。ゼロから100まで積み重ねないといけない。『やりたい』って言ってすぐやれるほど簡単じゃないことは、五輪を2回経験した僕が一番感じている」(AERA2018年12月24日号)

■半年後には冬季五輪

 夏と冬の五輪出場は日本人で過去に4人だけ。平野は異なる2競技を練習し、両方の大会に出場してきた。冬季五輪で頂点を狙う平野にとって、スノーボードの競技力が落ちるリスクもある。本人も「それなりに失うものもあった」と振り返る。

 それでも挑戦したのは「誰も挑戦していないことにこだわり続けたい」という思いだった。 平野はこの日、言った。

「誰もしていないようなことへのチャレンジは大変で、自分との闘いが繰り返し続いてきた。それはスノーボードではなかなか感じない部分だったと思うし、スケートボードが自分自身を強くしてくれたと思う」

 北京冬季五輪は半年後に迫る。東京五輪の1年延期によって、同一シーズンの夏冬五輪出場を目指す。狙うのは金メダルだ。

「スノーボードから離れていた期間がちょこちょこある。周りのレベルも高いし、半年でどこまでやれるか。またこれもチャレンジだと思う」

 平野の挑戦から今後も目が離せない。(編集部・深澤友紀)

AERA 2021年8月16日号-8月23日合併号

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