また、一部の看護師には接種会場までの交通費の支払いが遅れているという。接種会場の貼り紙にもこう記されていた。

<交通費の件 6月については、入金されていると思います>

 Aさんと同様に接種会場で働いているBさんはこう話す。

「ワクチン接種業務以外のこと、例えば、休憩時間を端末に記録しろと言っていたのが、急に不要と変わった。指示が朝令暮改です。ワクチン供給が足らなくて、トラブルになるのは仕方ないので我慢しますが、全体的なシステムを医療関係者に負担がかからない格好でやってほしい。個人的感想としては、仕事量が多くて、私自身も含めて、疲れ果てている人もけっこういる。人員が全体的に不足気味に思います」

 大阪市にこの件についても見解を尋ねた。

「大阪市では交通費の請求は、毎月締め切りの期日があり、それに間に合わないと遅れる場合があります。人員は問題ないと思っております」

 これまで大阪市ではワクチン接種を予約したにもかかわらず、ミスで取り消されたこともあった。高齢者施設従事者用のワクチン接種券を別の施設へ誤って送付するなど、複数のトラブルが判明している。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが効かない状況でワクチン接種は国民の最大の関心事だ。これ以上、問題が生じないよう願うばかりだ。

(AERAdot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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