だが、野球規則では、走者がアウトになったときは、守備妨害はなかったものとして、打者はアウトにならないと定められている。

 直後、誤審に気づいた審判団が2死無走者、西川のカウント1-2からのやり直しを宣告し、一度は攻守交替した両チームが慌てて元に戻るドタバタ劇となった。

 大会本部によれば、守備妨害が優先されると球審が勘違いしていたという。

 19年の3回戦、明石商vs宇部鴻城では、投ゴロの二封の際に、一度はアウトが宣告されながら、審判団が誤審を認め、判定がセーフに覆る“歴史的事件”も起きた。

高校野球で抗議は好ましくない」から「誤りは正す」へと、時代は変化しつつあるようだ。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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