中日・根尾昂 (c)朝日新聞社
中日・根尾昂 (c)朝日新聞社

 2年ぶりに行われた全国高校野球選手権は智弁和歌山の優勝で幕を閉じたが、100回記念大会となった3年前に甲子園を沸かせたのは根尾昂(大阪桐蔭→中日)、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)、吉田輝星(金足農→日本ハム)などだった。あれから3年、ミレニアム世代と呼ばれた彼らの現在地と今後に向けての展望、課題などを確認してみたいと思う(※成績は9月3日終了時点)。

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 まず1位の入札で人気を集めたのは根尾、藤原、小園海斗(報徳学園→広島)の3人だったが、ここへ来て存在感を示しているのが藤原と小園の2人だ。藤原は7月から2番センターに定着するとヒットを量産。1カ月の中断期間があってもその勢いは衰えることなく、7、8月の月間MVPの最有力候補となっている。昨年と比べて成長が見られるのが出塁率の高さだ。規定打席には到達していないが、.361という数字は3割近い打率(.299)をマークしている1番の荻野貴司(出塁率.363)とほぼ同じ数字だ。

 持ち味である思い切りの良さとフルスイングも健在で、42安打中18安打が長打(二塁打12本、三塁打1本、本塁打5本)というのも見事という他ない。出塁率と長打率を足したOPSは.819をマークしており、主砲のレアード(OPS.839)に次ぐチーム4位で、完全に強打の2番打者としてチームにフィットしていると言えそうだ。課題は1年を通じての安定感となる。昨年もシーズン終盤は見事な活躍を見せながらも、今年は開幕から出遅れただけに、来年こそは不動のレギュラーとして規定打席到達を目指したい。

 昨年は一軍でノーヒットと苦しんだが小園も今年は6月からショートのレギュラーに定着。ホームランはここまで1本とそこまで長打が多いわけではないが、広角に鋭く打ち分ける打撃で確実性がアップし、現在では完全にクリーンアップの一角となっている(9月2、3日の試合は2番でスタメン出場)。このまま最後までスタメン出場を続けることができれば、ギリギリで規定打席をクリアして打率ランキングで上位に入ってくることも期待できるだろう。課題となるのはショートの守備だ。堅実さは徐々に出てきているものの、打球に対する判断や球際の強さでは田中広輔と比べるとまだ見劣りするところがある。守備面での貢献度をここからどこまで増やすことができるかが不動のレギュラーへのカギとなりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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根尾が苦しむ中、頭角を現す選手も