また、面識はないけれど、藤田まことさんは俺の印象では面白い人。初めて見たのは「てなもんや三度笠」だ。「この人は面白い人な~」と思っていたら、どんどん売れてビッグになったよね。白木みのるさんとチャンバラコントをやっていたのが、「剣客商売」で殺陣をやってみせたり、「はぐれ刑事純情派」をはじめ、役者として沸点までいった人だ。漏れ聞くところによると、私生活も渋くて味のある人だったらしい。「裸の大将」の芦屋雁之助も渋い人だったというし、バカなことをしているお笑いの師匠ほど厳しかったり、ビッグな人にそういうギャップがあるのがカッコいいよね。

 ビッグな人といえばもちろん馬場さんだけど、この人も面白いところがあったよ。馬場さんは「日本一背が高いプロレスラー」という看板を背負って戦っていたけど、あるとき、俺が身長2メートル30センチのバスケットボールの岡山恭崇選手を見て「馬場さん、岡山をプロレスに入れたら面白いんじゃないですか」と進言したことがある。そうしたら馬場さんは、OKともダメとも言わず、ただ葉巻をくゆらせるだけだった。

 俺はよかれと思って言ったのに、そんな態度だから納得がいかなくてザ・グレート・カブキさんにも言ったら「源ちゃん、馬場さんが日本一背が高いプロレスラーと言っているのに、自分より背が高い選手を入れるわけないだろう!」と怒られて、初めて納得したよ(笑)。

 馬場さんは2~3晩続けて麻雀をやったり、ゴルフをしたり、遊びの方も熱心だったけど、女遊びだけはしなかったね。なぜ、女遊びをしなかったのかは知らないけど(笑)。ところがあるとき、どこかのソープ嬢の「馬場さんが来て、サインももらった」という記事が出たんだ。それを知った馬場さんが「なんだと! そんなところに行ったことなんてないぞ! 今すぐその色紙を買い取って来い!」と激怒してね。茶化した俺たちも悪かったが「色紙を買い取って来い!」だもんな(笑)。

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