プロレスラーでは寺西勇もユニークだった。彼も相撲から国際プロレスに入って、全日本プロレス、新日本プロレスと渡り歩いて、長州力とよく行動を共にしていた人で、すごい潔癖症なんだ。公共の場所でトイレに行くときは、誰かが来てドアを開けるまで待っていて、開けたら一緒に入って、用を足し終わったらまた誰かがドアを開けるまで待っているほど、ドアを触らない。
風呂に入るのも徹底していた。当時のプロレス巡業は旅館に泊まることが多くて、風呂は序列が一番上の人から順番に入るんだけど、寺西は中堅くらい。潔癖症の彼は、下の選手も全員が入り終わるのを待って、風呂の湯を全部抜いて、自分で風呂を洗って、それから湯をため直して入っていたんだ。レスラーの汗や血がついたり、トイレに行ったシューズで上がったり、リングの上の方がよっぽど汚いと思うんだが、それは平気なんだよな……。もちろん、試合が終わったらすぐに体をピカピカにしていたけど。今のコロナ禍に見本にしたい人だよ。
タレントでいえば、ダチョウ倶楽部の上島君とリーダーの肥後君。彼らは、俺たちのプロレスの打ち上げにもよく来てくれていたんだ。もともと、俺と楽ちゃん(三遊亭円楽)と一緒に遊んでいた、岡ちゃんという人のつてだったんだけど、特に上島君がよく来てくれるようになってね。打ち上げに来るといつも裸になって走り回って場を盛り上げてくれていたよ。
上島君が今の奥さんと結婚するかしないかくらいで、結構売れ始めていた頃だね。でも俺はテレビ番組にうとかったから「おい、上島、またタダ酒飲みに来たのか! そんなに仕事ないのか!?」なんてからかったりしてね。本当によく場を盛り上げてくれて、あまりにもいつも来るもんだから、車代を渡そうとしたこともあった。「いや! 僕はここにいるだけで楽しいですから!」と言って受け取らなかったけどね。上島君はいつもそんな感じで、リーダーも朝までバカ話をしたりね。リーダーは脱ぐことはないけど、上島君くらいパーッとできたら、ダチョウ倶楽部ももっと違うグループになっていたかもね。本当によく2人で来てくれて盛り上げてくれた。寺門ジモンは一度も来なかったなぁ(笑)。。