まず、鄭明析氏についての実刑判決について、さまざまな疑問点があります。


 被害者とされる女性2名は、2006年4月に中国滞在中に被害に遭ったとして、現地の公安当局に被害申告をし、それを受けて、中国公安当局は、捜査を開始しましたが、中国・鞍山市中心病院が当該女性を診断した結果、性的暴行を示唆する異常は認められませんでした。また、中国公安当局は、2007年5月1日に鄭明析氏を逮捕しましたが、被疑事件について同氏を取り調べ、被害が起きたとされる現場も検証しましたが、被害申告の事実と客観的に合致しないことも判明し、結果として、嫌疑は認められず、性的暴行事件に関する裁判も行われることはありませんでした。そして、韓国政府の要請に従って、鄭明析氏を2008年2月20日に韓国政府に引き渡しました。


 ところが、韓国の検察・警察は同一の被害申告について、現場検証をすることもなく、鄭明析氏に有罪判決を下したわけです(かつ、上記の被害者とされる2名のうち1名は、虚偽の被害申告をしたとして告訴を取り下げ、その部分については公訴棄却されています)。


 現場検証をした中国公安当局は嫌疑なしとの判断をし、現場検証をしない韓国の司法当局は有罪判決を下した、という事実だけをもってしても、韓国での鄭明析氏に対する実刑判決には、理解し難い疑問点があります。


 次に、日本でも被害を申告したとされる方々がいたということは、2006年当時の報道資料などで承知しております。2006年7月28日に朝日新聞大阪本社版が1面で、鄭明析氏の顔写真とともに「教祖 性的暴行繰り返す」「被害信者100人超か」との見出しで大きく報じたことに始まり、その後も「摂理」に対するマスメディアの報道が続きました。しかし、マスメディアからは形式的な質問や問い合わせこそ来たことはあれ、「摂理」すなわち当宣教会側が提示する客観的な事実やその他の証言については、全く取り上げられることはありませんでした。

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日本では一件も刑事事件化されていない