世界を舞台に活躍する俳優・美波さん。映画「MINAMATA」では、米俳優ジョニー・デップの相手役を好演しました。作家の林真理子さんが、大役をつかんだ秘話をうかがいました。
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林:ご無沙汰しています。
美波:こちらこそご無沙汰しております。
林:10年ぐらい前、私の小説が原作のドラマ(「下流の宴」)に出ていただいたんですよね。こんなにすごい女優さんになってお会いできてうれしいですよ。
美波:私も、ちゃんとお話できてうれしいです。
林:今度の映画(「MINAMATA‐ミナマタ‐」9月23日全国公開)で、ハリウッドのスーパースター、あのジョニー・デップと共演なさったんですね。水俣の写真で世界的に有名なユージン・スミスの相手役(アイリーン)という大役を務めたわけですが、これはオーディションだったんですか。
美波:オーディションです。私はいま海外を転々とするような生活なんですが、じつは私、去年結婚したんですよ。
林:あ、そうなんですね。
美波:夫はフランス人なんですけど、普段はアメリカのロサンゼルスに住んでいるので、3年前の年末、クリスマスを彼の家族と過ごすためにフランスに行ったんです。そのとき、フランスの空港に着いて飛行機を降りたら、この映画のキャスティングディレクターの奈良橋陽子さんからたくさんのメールが届いていたんです。
林:あの有名な奈良橋さんから。
美波:はい。「オーディションを受けてくれませんか。返事を待ってます」というメールで、すぐ「やります!」ってお返事をしました。その後フランスでオーディションが始まったんです。ですが、アイリーンさんの役だったので、監督のアンドリュー(・レヴィタス)はアメリカ英語をちゃんとしゃべれる人をキャスティングするつもりだったようです。一方で私は、かなりのフレンチなまりの英語なんですよ。
林:そうなんですか。
美波:ですから、監督に「あと20%フレンチなまりを抑えてほしい」と言われても、なかなかできなくて。なおかつ英語でのお芝居は初めてだったから、よくあの英語力で、監督は私を選んでくれたなと思います。それからずっと勉強しているんですけど。