睡眠時無呼吸症候群データ
睡眠時無呼吸症候群データ

専門的な検査で呼吸と睡眠の状態を調べる

 SASの診断のためには、専門医による診察と検査が欠かせない。SASの診療は内科や呼吸器科、循環器科、耳鼻咽喉科などでおこなうが、専門的な検査や治療を受けられる病院は限られている。日本睡眠学会のホームページに、学会が認定する医療機関や専門医の一覧が掲載されているため、受診の際には参考にするといいだろう。「睡眠外来」「いびき外来」などの専門外来を設置している病院もある。

 SASの疑いで受診した場合、まずは医師の問診により、夜間の症状(いびき、呼吸の停止、頻尿など)、日中の症状(眠気、起床時の頭痛、疲労感など)、のどや骨格の状態、肥満や合併症(高血圧、糖尿病、心疾患など)の有無などを確認する。眠気についてはESS(エプワース眠気尺度)といったチェックシートがよく利用される。

 その上で、まずはスクリーニング検査として睡眠中の呼吸状態と血液中の酸素の状態を調べるが、この検査は患者が自宅でおこなうことができる。

 自宅での検査でSASの可能性が高いと判断された場合には、病院で精密な検査「ポリソムノグラフィー(PSG)検査」をおこなう。この検査には1泊2日の入院が必要だ。からだに複数のセンサーや電極をつけ、呼吸状態や血中の酸素の状態をより詳しく調べることに加え、脳波や眼球運動、心電図などを測定して睡眠の深さや脳の覚醒反応なども調べる。PSGは、SASの確定診断や重症度を調べるためには欠かせない検査だと富田医師はいう。

「入院が必要な検査のため、負担を感じる患者さんもいるでしょう。自宅でのスクリーニング検査でも呼吸状態はある程度わかりますが、SASには酸素が不足することと睡眠が妨げられることという二つの問題があります。この病気でより重大なのは、呼吸の停止をくり返すことによって深い睡眠がとれなくなることなので、脳波の検査もして睡眠の状態をしっかり調べることが必要なのです」

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