「下弦の壱」の鬼・魘夢(画像は「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」公式パンフレットより)
「下弦の壱」の鬼・魘夢(画像は「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」公式パンフレットより)
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【※ネタバレ注意】以下の内容には、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』および既刊のコミックスのネタバレが含まれます。

 25日に地上波で初放送された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では、敵側のメインキャラクターである魘夢のサイコパスな言動や“異能”の力が不気味さを際立たせた。魘夢は人の“弱み”につけこむ卑劣な鬼だが、魘夢との戦闘によって浮かび上がったのは、炭次郎たち人間の“心の強さ”だった。『無限列車編』の地上波初放送にともない、魘夢のサイコパスな特性を考察した2021年5月5日のAERA dot.の記事を再配信する。

【写真】「上弦の鬼」のなかで最も悲しい過去を持つ鬼はこちら

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■惨殺された「下弦の鬼」たち

『鬼滅の刃』では、鬼の始祖・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)が、彼の配下でとくに実力があると認めた者を「上弦・下弦の鬼」と呼んでいる。

 しかし、主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)は、その仲間・我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)と嘴平伊之助(はしびら・いのすけ)とともに、那田蜘蛛山で「下弦の鬼」累(るい)たちを撃破した。鬼殺隊「柱」冨岡義勇(とみおか・ぎゆう)・胡蝶しのぶ(こちょう・しのぶ)の援護は要したが、経験の浅い炭治郎たちが「下弦の鬼」を退けたのは、めざましい躍進だった。

 この「累・敗北」の報を受けた鬼舞辻無惨の怒りは想像以上にすさまじく、「弱さ」を理由に、下弦の弐(2)・参(3)・肆(4)・陸(6)を惨殺する。アニメ視聴者から「パワハラ会議」とすら呼ばれた、この残酷なシーンは大きなインパクトを残した。だがその中で「下弦の壱」魘夢(えんむ)だけは、唯一、生き延びることに成功する。

■魘夢が無惨に殺害されなかった理由

<私は夢見心地で御座います 貴方様直々に 手を下して戴けること 他の鬼たちの断末魔を聞けて楽しかった 幸せでした 人の不幸や苦しみを見るのが大好きなので 夢に見る程好きなので>(魘夢/6巻・第52話「冷酷無情」)

 ほかの「下弦」たちの言葉をことごとく遮り、手を下した無惨が、魘夢の言葉だけは終わりまで耳を貸した。無惨が喜んだのは、魘夢が示す「苦痛への陶酔性」だった。人が不幸になり、悲痛な表情をして苦しむほどに喜びを感じるという、ゆがんだ性格をしている。

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サイコパスな気質