「学校現場が忙しい理由は、先生の意識や行動だけにあるわけではなく、学校の仕組み、ICTインフラ、教育制度、そして地域・社会の意識まで、様々なところに存在します。今回の調査では、ICT活用の確認とともに、子どものためならと頑張りすぎてしまう先生の『ガンバリズム』、変化より前例を重視するなど、教員の意識、行動改善を実証校で確認し、それを他校に横展開していくことが狙いです」(なかむらさん)
先生たちからはどんな声があがったのだろうか。
「驚いたのは先生たちは本当に休憩時間がない、ということです。給食も子どもたちと一緒ですし、担任を持っていない先生も10分、15分で食べて午後の授業の準備や校務をしている。『トイレに行く時間も忘れてしまうぐらい忙しい』と言っている先生もいました。週5日、毎日これではしんどいですよね」。
そのほか、多くの先生から出た声が以下のようなものだ。
「『教材研究や授業準備の時間を増やしたい』という声が多かったのも印象的でした。これだけ長時間労働をしていながら、肝心の教材研究や子どもと向き合う時間に十分な時間が取れていないのです」(同)
これら一つひとつの問題を解決していくのはどうしたらいいのだろうか。
「例えば通知表のコメントを書くこと一つでも『面談で伝えたことと一緒だからコメントは書く必要はない』と言う先生もいれば、『やはりコメントは書くべき』という先生もいて意見が分かれます。一概に効率化すればいい、というものでもない。むしろ、前例にとらわれず、『これは本当にやる意味があるのかな?』と問題意識を持つことが必要でしょう。そして一つひとつどうしていくか、先生たちで話し合って決めていく必要があります。調査校では、そこに私たちも入って解決策を探ります」(同)