世界でもっとも長時間勤務をしているともいわれる日本の学校教員。2018年に48の国や地域が参加して行われた「OECD国際教員指導環境調査(TALIS) 」では、日本の先生の勤務時間は小学校で週54.4時間、中学校で週56時間と、参加国・地域の中で最長だった(初等教育は15か国の調査)。一般に「過労死ライン」と呼ばれる月80時間を超えて残業している先生も多くいるという調査結果もある。はたして先生の「働き方改革」は可能なのか? 実際に調査に当たっている現場の声を聞いてみた。
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現在経済産業省では、新しい学習指導要領のもとでの「1人1台端末」など、新しい学び方を実証する「未来の教室」事業を行っている。そのなかで今年、「学校における働き方改革」(学校BPR)の調査をおこなったのが、IT企業のサイボウズだ。
サイボウズは2021年度の「働きがいのある会社」ランキング中規模部門」において2位に選出され、過去も6年連続で上位にランクインしている、まさに「ホワイト企業」。しかし2005年には、離職率が28%にも達していた「ブラック企業」だったのだ。学校の調査にかかわった同社のなかむらアサミさんはこう話す。
「私が入社したのは2006年。まさかそんなに離職率が高い会社だとは知らずに入社しました(笑)」
その後、組織や評価制度を大胆に見直し、社内コミュニケーションを活性化する施策をした結果、離職率は現在の水準の3~5%にまで下がった。
なかむらさんは入社後、人事、広報、ブランディングなどを担当し、現在は数々の企業や自治体でチームワークや働く上での意識改革を教えているいわば「働き方改革」のプロ。そんななかむらさんたちが中心となり、今年8月に公立中学校の先生たちと徹底的にオンライン面談を繰り返した。調査したのは、東海地区の中規模(生徒300~400人)の公立中学と、九州の大規模(同1000人)の公立中学校の2校だ。