と心から思っている私だが、あの映像を見た瞬間、「こう来たかー」と驚いた。「小室さんの辞書に『無難』という文字はない」と思い、複雑な気持ちになった。皇室を長くウォッチしてきて、「目立たない=良し」が皇室だと理解しているからだ。

 そしてもう一つ、気になったことがあった。その説明として松本人志さんの言葉を紹介する。9月26日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ)で、小室さんの映像を見てこう言った。

「国民の、怒っている人の多くは、ちょっと好きになりたい、小室さんのことを。何かしゃべってくれれば。ゼロ言葉なんで」

 絶妙な表現だと思った。批判している人も、小室さんを叩こうと待ち構えているばかりではない。だから小室さんが歩み寄れば、違う結果になる。テレビを知り尽くした人の実感だろう。

 小室さんはあの日、取材に全く反応せずひたすら歩いていた。いきなりテレビクルーにマイクを突きつけられ、「眞子さまと、どういうお気持ちでご結婚されるんですか?」「秋篠宮さまご一家にご説明、ご面会される予定はありますでしょうか?」などと聞かれたのだ、不愉快になって当然だ。

 が、それでもほんの一瞬立ち止まり、一礼をする手はあった。そうすれば、延々と歩く姿を映されることはなかったかもしれない。それはわかっているからこそ帰国に際しては、ケネディ国際空港でも成田空港でも、小室さんは報道陣に礼をしたのだろう。となると、あの日の態度は無礼な取材に咄嗟(とっさ)に出た本音、それはマスコミ不信、その先にある国民不信だろうと想像した。

 眞子さまの映像があったからだ。23日、皇居・宮中三殿での宮中祭祀(さいし)「秋季皇霊祭・秋季神殿祭の儀」に参列するため皇居・半蔵門を通る姿が、何度となく報じられた。眞子さまは、佳子さまと同じ車に乗り、沿道の人々に挨拶していた。2人の帽子は同じアイボリー色だったが、雰囲気はまるで違った。

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