柔軟な投手起用を見せるヤクルトの高津監督(右) (c)朝日新聞社
柔軟な投手起用を見せるヤクルトの高津監督(右) (c)朝日新聞社

 これは、投手出身の監督でないとなかなかできないことである。しかも、常に2軍の選手の特性、能力、状態を見抜いていなければならない。それも高津監督が2軍監督をやっていたことが大きくプラスに働いている。

 今や支配下の選手のうち球団平均で50~60人が1軍に出場する。主力を固定して戦う「9人野球」の時代はとうに終わっている。骨折していても出続ける主力よりも、体調万全な若手を使う時代だ。そして、多くの選手を起用しながら弱点をどう補うか。首脳陣の視野の広さ、発想力がマネジメントに試されている。

 セは巨人が菅野智之の状態が今一つで、阪神ドラフト1位の佐藤輝明に元気がない。ヤクルトが一番いい状態で最後の直線に入る。

 パはロッテオリックスのどちらも譲らないだろう。最後の最後までわからない展開。3位には楽天、4位にはソフトバンクと地力のある2チームがいる。上位2チームがもたつくようだと、最後まで大混戦となる。今年のペナントレースは本当に面白くなった。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2021年10月15日号

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