雲海に浮かぶ竹田城/古城山山頂(標高353m)にある竹田城は、堅牢な総石垣の山城で、360度の眺望を楽しむことができる。(写真/萩原さちこ)
雲海に浮かぶ竹田城/古城山山頂(標高353m)にある竹田城は、堅牢な総石垣の山城で、360度の眺望を楽しむことができる。(写真/萩原さちこ)
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 一見、「天守や櫓がなく、土と山だけ」と思われがちな山城。しかし開発にさらされがちな平城等に比して保存状態が良く、ほぼ往時の姿をとどめている山城も多い。週刊朝日ムック『歴史道 vol.17』では、「戦国の山城の歩き方」を特集。3人の専門家に「オススメの山城」を推薦してもらった。今回は、城郭ライターで山城ファンの萩原さちこさんに「絵になる山城」を選んでもらった。

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――フォトジェニックな山城、つまり「絵になる山城」をご紹介ください。

 お城の魅力はさまざまで、高くそびえる石垣、水をたたえる水堀、壮麗な天守など、絵になるお城は数え切れません。山城もまた、絵になる場面は無数にあります。今回は、単純に城そのものがフォトジェニックな山城と、その城から見た景色、城の周辺の景色が印象的な山城を、あわせてご紹介したいと思います。

週刊朝日ムック『歴史道 Vol.17』から
週刊朝日ムック『歴史道 Vol.17』から

――まず挙げていただくのは?

 備中松山城(岡山県高梁市)です。何といっても特徴的なのは、自然の岩盤と石垣のコラボです。石垣の魅力は言うまでもありませんが、荒々しい自然石と人の手によって積み上げられた石垣とを、同時に見ることができるというのは、とても迫力満点で、まさに絵になる光景です。

備中松山城大手門跡付近/切り立った臥牛山の岩盤と石垣とが一体となった高石垣。石垣の上には曲輪が配置され、土塀で守られていた。(写真/萩原さちこ)
備中松山城大手門跡付近/切り立った臥牛山の岩盤と石垣とが一体となった高石垣。石垣の上には曲輪が配置され、土塀で守られていた。(写真/萩原さちこ)

 天空の城としてすっかり有名になった竹田城(兵庫県朝来市)は、フォトジェニックという意味では真っ先に名が挙がるかも。竹田城が雲海に浮かぶ姿がよく知られていると思いますが、城から見下ろす雲海も、フォトジェニックで、多くのカメラマンが撮影をしています。雲海は寒暖の差が激しい時期でないと見られませんので、晩秋がおすすめです。

―― 朝来市の観光サイト「あさぶら」には雲海予報も載っています。

 山城と海の取り合わせもあります。清水山城(長崎県対馬市)は、厳原港を見下ろす景観が優れています。秀吉の朝鮮出兵のときに造られた城で、海から見上げると石垣が見えるように築城されています。一大名の拠点ではないので、石垣の造り方や種類、築城の設計なども多種多様で、特に3種類の石垣を一度に見ることができるのは見どころの一つです。

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石垣が絵になるような山城は?