ならば若手有望株とのトレードで大物投手を獲得すれば、と言いたいところだが、エンゼルスのマイナー組織は相次ぐトレードやドラフトの失敗で焼け野原状態。MLB公式サイトの「プロスペクト(有望株)ランキング2021」をみると、トップ100にエンゼルス傘下の選手は2人しかいない(23位の左腕リード・デトマーズと87位の右腕サム・バックマン)。トレードとは取引なので、相手が望む材料をテーブルに乗せられなければ成立する余地がないのは道理だろう。

 つまり、少なくともここ数年のうちにエンゼルスの戦力が劇的に向上してプレーオフ争いできるチームになる可能性は低いと言わざるを得ない。大谷がワールドシリーズ制覇の可能性が高い環境を望むなら、エンゼルス残留のデメリットはこれまた大きい。

【大谷の新天地になり得るのは?】

 では大谷がエンゼルスからの移籍を決断した場合、新天地となり得るのはどんなチームなのか。少なくとも下記の3条件はクリアする必要があるだろう。

・中4日の先発を望むスーパーエースが不在
・DHを大谷が独占しても大丈夫な戦力編成
・大型契約が必至の大谷を引き受けられる資金力

 これらを踏まえると、ヤンキースは資金力には問題がなくとも、ほぼDH専任の大砲ジャンカルロ・スタントンとの契約を2027年まで残し、現役屈指の先発右腕コールとも長期契約を結んでいることが大谷獲得の障害になり得る。

 レッドソックスにもDHのJ.D.マルティネスとエース左腕クリス・セールがいるが、マルティネスの契約は22年まで。セールは25年までの契約だが、20年にトミー・ジョン手術を経験していることから30代半ばを過ぎる契約後半には先発回数にこだわらなくなる可能性がある。

 レイズはスター選手に頼らない柔軟な編成で強豪チームを作る手腕に長けるが、いかんせん資金力に限界がある。ホワイトソックスはDHを固定せず、先発ローテも今季は5人でほぼ回していた。ただしベテランのダラス・カイケル投手が来オフ(※オプション付き)、ランス・リン投手も24年オフにFAとなるため、大谷獲得に合わせてチーム編成を調整する余地は残されている。

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大谷獲得にはチームにも“覚悟”が必要?