DHについても、近年は打撃に全振りのスラッガーを固定起用するよりも、レギュラー野手を持ち回りでDH起用して守備の負担を緩和するチームが増えている。そういったチームが大谷を獲得した場合、選手起用および編成を根本から見直さなければならなくなるだろう。大谷が外野守備にも就くなどした場合はこの問題は解消されるが、大谷個人への負担が増すというリスクが生まれることになる。

 これらの問題が、すでに大谷(とマイク・トラウト外野手)を中心としたチームになっているエンゼルスに残留した場合は全てクリアできるのだ。大谷にしてもすでに気心が知れた首脳陣やフロントとの意思疎通を気にする必要がなくなる。大谷個人が二刀流でのキャリアを長く続けることに関しては、エンゼルス残留のメリットは大きい。

【エンゼルス残留のデメリット】

 これはもう大谷本人が気にしているように、「勝ちたい気持ちに応えられるチームになれるのか」という点に尽きる。エンゼルスは2014年を最後にポストシーズンから遠ざかっている。現役屈指の強打者であるトラウトを擁しているにもかかわらず、だ。

 最大の原因は誰が見ても明らかなように、投手力の不足。しかし前述のように大谷の二刀流は先発6人ローテが前提となるため、スーパーエースたちはエンゼルス移籍に二の足を踏む可能性が高い。19年オフにゲリット・コール(現ヤンキース)、昨オフにはトレバー・バウアー(現ドジャース)の獲得を断念したのも、もしかしたらそのあたりが関係した可能性もゼロではない。

 さらにオーナーのアルトゥーロ・モレノ氏が好投手よりも強打者の獲得を好むという傾向も無視できない。それが良い方向に出ればいいのだが、ジャスティン・アップトン外野手やアンソニー・レンドン三塁手との大型契約は、今季までの結果を見る限り成功とは言い難く、彼らとの大型契約で投手陣整備に割けるリソースが圧迫されたのも辛かった。

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