日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「今年のインフルエンザ流行予測とコロナの関係」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
* * *
つい先日、今年度のインフルエンザワクチンを接種しました。10月より多くの医療機関でインフルエンザのワクチン接種が始まっており、勤務先のクリニックでも連日老若男女問わず、多くの方がワクチン接種のため受診してくださっています。
一方で、「インフルエンザワクチンは接種したほうがいいですか?」と聞かれることも増えてきました。
新型コロナウイルスが全世界にパンデミックをもたらしてからは、全く見かけなくなってしまったインフルエンザ。今年の冬にインフルエンザが流行するかどうかは、正直なところわかりません。
これまで北半球の冬季のインフルエンザの流行を予測するうえで、南半球のインフルエンザの流行状況が参考にされてきました。今年の南半球の流行シーズンで、インフルエンザの流行はどうだったかというと、インフルエンザの患者数はきわめて少数であっことが報告されています。そのため、これからインフルエンザシーズンがやってくる北半球でも、去年に引き続いて今年もインフルエンザは流行しないかもしれません。
しかしながら、万一この冬にインフルエンザが流行した場合、例年以上に感染拡大を引き起こしてしまう可能性が指摘されています。昨年流行しなかったことが影響し、私たちのインフルエンザに対する免疫が落ちている可能性があるからです。
こうしたことを考慮すると、新型コロナウイルスのワクチン接種に加えて、インフルエンザの予防接種により免疫を高めておくことが、新型コロナウイルスの第6波、そしてインフルエンザの冬の流行に備える上で効果的でしょう。
現在、感染者数が激減している新型コロナウイルス感染症。外来診療では、発熱や風邪症状を主訴に受診された患者さんに対してPCR検査を継続して実施しています。けれども陽性を見かけることはほとんどなく、8月の感染をピークに収束していることを実感しています。