さらに別途、毎月の給与に1万円を上乗せするため、平均すると毎月1.5万円分を支援している。9月末時点で14人の社員に総額168万円(うち代理返還は84万円)を支援してきた。同社人事本部長の名越里美さんはこう話す。
「PR TIMESは社員の62%が20代(21年3月時点)の会社です。奨学金の返還は社会問題の一つと考えており、当社でも以前から若手社員に対する奨学金の返還支援を検討していました。そんなときに代理返還制度の情報を知り、企業も微力ながら奨学金返還の問題に関わることができると思い、4月から制度を導入しました」
返還支援の方法は企業によって異なる。PR TIMESでは上述のように、代理返還と給与上乗せの「ハイブリッド」の方式を採用した。社員が日本学生支援機構からの奨学金以外に、個人で返還する必要がある奨学金を受けていることにも配慮した。
制度の対象となっている社員からは、意外な感想を聞いたという。
「負担が軽くなるという実感よりは、『進学という選択を会社から認めてもらっている実感がある』という声を聞きました。奨学金を借りる必要があったと話す社員が何人かいるのですが、その道を選択して大学で学び就職したことには意味があったのだと、再認識できたといううれしさ、喜びがあったようです」(名越さん)
■「あくまで返還支援の一つの事例になれたら」
この制度の導入は、採用活動にどのような影響があるのだろうか。
「返還支援制度について、福利厚生の一部として紹介することはありますが、この制度があるからぜひ当社に、ということは決してありません。当社はあくまで奨学金返還を支援する企業の一つの事例になれたらと考え、制度を導入しました。私たちが様々な会社様の取り組みを参考にさせていただいたように、導入を検討する次の企業にとって、少しでも参考になれたらと思います」
社員の奨学金を全額、代理返還するのが、流体制御機器総合メーカー・サーパス工業(埼玉県行田市)だ。企画室次長・大野祐治さんはこう話す。