投手から野手に転向して12年、通算の打撃成績は出場968試合で881安打、66本塁打、386打点、41盗塁。野手転向後に限れば、通算打率は.293になる。その間も、常にファンに支えられてきた。特にタイムリーやホームランを打った後で守備に就く際の、スタンドからのコールが励みになっていたという。

「ホントにそのコールを聞きたいがために『絶対打ってやろう』とか、『みんなに喜んでもらえるように頑張ろう』っていうふうに思ってやっていて、そういうコールを聞いたときがもう、最高に選手としては嬉しい瞬間だったんですね。上手くいかない時でも常にヤクルトスワローズのファンの方は温かく見守ってくれたので、ホントに感謝の気持ちでいっぱいです」

 ヤクルトは今日、10月29日の広島戦(マツダ)がシーズン最終戦になるはずだったが、雨天中止となった22日の同カードが11月1日に組み入れられ、本拠地の神宮球場で開催される。現時点では球団からの発表はないものの、これが雄平の「引退試合」となる可能性は高い。

 現在は球場での大声による応援は禁止されているため、声を出してコールすることはできない。その代りに精一杯の拍手で、1人ひとりの心の中での「ユウヘイ・コール」で、誰からも愛された背番号41を送り出してほしい──。「感謝の気持ちでいっぱい」という雄平に、ファンも最後に感謝の気持ちを表す機会が訪れることを、心から願うばかりだ。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。