引退会見後の雄平とマスコットのつば九郎(c)菊田康彦
引退会見後の雄平とマスコットのつば九郎(c)菊田康彦

「15年の優勝っていうのが僕の中では一番いい思い出として残ってますし、その中で(ホーム)最終戦でサヨナラヒットを打てたんですけども、ホントにその場に立ててプレーできたこと、また結果を出したこと、ホントにそれが最高の経験ですし、いい思いをさせてもらえたなと思っています」

 マジック1で迎えた10月2日の阪神戦(神宮)、1対1の11回裏、2死一、三塁からライト線に自身初のサヨナラヒット。劇的な形でチームに14年ぶりのリーグ優勝をもたらしたこの一打は、野球人生のハイライトとなった。

 もっとも雄平が愛されたのは、こうしたバットでの活躍だけが理由ではない。外野の守備では2015年にリーグ2位タイの8補殺、翌2016年は同3位の7補殺を記録するなど、元投手らしいレーザービームでも魅せた。そして何より、かつて「純粋にベストを尽くしたいという気持ちは常にあります。後悔したくないという思いがあるので」と話していたように、全力プレーを惜しまなかった。

 また、日頃から屈託のない笑顔を絶やさず、コロナ禍以前はファンからサインや写真を頼まれれば、快く応えた。クラブハウスから室内練習場へ向かう道すがら、警備員に止められても「僕がいいって言えばいいんですよ」と、全てのファンの求めに応じたのを目撃したこともある。

 その雄平も、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が大幅に遅れた昨季は、状態がなかなか上向かずに苦しんだ。2度目の二軍落ちで自分のバッティングをじっくりと見つめ直し、ファームで結果を出すようになった矢先、試合中の負傷により離脱。これが尾を引き、今シーズンはリハビリ組でスタートすると、4月下旬にイースタン・リーグで実戦復帰してからも、思うような成績を残すことはできなかった。

「(まだできるという思いも)少しありますかね、ははは。少しまだ、ちょっとあるかもしれないです。ただ、そういう気持ちでやめるのも幸せなのかなと思いますし、野球が嫌いでやめたいってわけじゃなくて、もっとやりたいって思いますし、まだやれるっていう気持ちの中でやめるのも、次のステージへの力になります。悔しい気持ちももちろんありますから、次のステージに向けて、その気持ちをぶつけていきたいなと思います」

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「常にファンの方は温かく見守ってくれた」