路面電車開通前の1888年に架橋され、1915年に拡幅されたプラットトラス構造の鎧橋を渡る14系統渋谷駅前行きの東京市電。東京証券取引所の前から撮影されたものと推察される。(所蔵/関田克孝)
路面電車開通前の1888年に架橋され、1915年に拡幅されたプラットトラス構造の鎧橋を渡る14系統渋谷駅前行きの東京市電。東京証券取引所の前から撮影されたものと推察される。(所蔵/関田克孝)

 写っている市電は青山車庫配置の旧3000型で、大正期に610両が量産された東京市電で初めての低床式ボギー車。電車正面右側の菱形系統番号は1928年から掲示され、この14系統は両国から築地経由で渋谷駅前に向かう伝統の名門路線だった。1931年の系統番号改訂で14系統は9系統に変更されているから、この絵葉書は1928年から1931年に撮影されたものと推察した。

 鎧橋は関東大震災や第二次大戦の戦火にも耐えたが、老朽化が進捗したため都電の通行が禁止され、茅場町~蛎殻町の中間に所在した鎧橋停留所と共に1946年5月に廃止された。同時に茅場町一丁目交差点から茅場橋を経由して蛎殻町を結ぶ迂回新線が開業して、1971年3月の路線廃止まで都電が走り続けた。ちなみに、築地旧線が渡った鎧橋は1957年に現在のゲルバー桁橋に架け替えられている。

■撮影:1962年3月28日

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