並び方を検討するため、数百枚のプリントを床に並べて検討したことも
並び方を検討するため、数百枚のプリントを床に並べて検討したことも

 一度はあえて、そうした時代性も込めて「#世界」という一般名詞すぎて機能しないハッシュタグそのものをタイトルにしようかとも思ったんですが、関係者に聞いたら「多分伝わらないです」と言われたのでやめました(笑)。

■突き詰めた先に見えたフラットな「世界」

―─『世界』はどのような写真構成になっているのでしょう?

 言葉でいうのはとても難しいんですが、自分の本としてはほとんど初めて「世界地図」もなければ、「あとがき」などもないです。意味を限定するものを極力排したかった。写真も最終的に600ページで500枚以上になったので、並び方も本当にもう無理というくらい何度も考えました。並べては崩し、並べては崩しで都度編集者にサンプルPDFを作ってもらっていたんですが、最終的には多分50バージョンくらいできていたんじゃないかと思います。

 ページの並びにも色んな意味が込められています。ただ地域とか被写体のジャンルによってわけるのではなく、あくまでフラットに並べられていて、それが結局自分の「世界」観なんだなと後で見返して思いました。

 ただ僕自身、飾るための本というのが好きではないので、どんな内容であれ本である以上は繰り返し見られるもの、見たくなるもの、というのが理想なので、そこは追求した作りにはなっています。極端な話、前から見はじめてもいいし、後ろから見始めてもいい。途中から見ても楽しめるんじゃないかと思います。

―─制作でもっとも苦労した点は?

 写真の選定、現像、印刷まで、ほとんど全部の作業ですね(笑)。過去一番大変でした。でも一番はやはり膨大な数の中から写真を選ぶことだったかもしれません。デジタルのデータから、フィルムのネガまで含めて、仕事、プライベート問わず、過去20年近く撮った写真をすべて見返すのは本当に大変でした。

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100年後の誰かに届けるための本づくり