町工場が苦手なこと、それは営業である。いや、大手メーカーに忠誠を尽くし、意向に忖度してきたために苦手にさせられてしまったともいえる。どこにどんなニーズがあるのか分からない。技術が生かせる仕事があるかもしれないのに……。宝の持ち腐れだ。経営は傾き、経営者も従業員もつらい思いをする。その結果、自死や夜逃げに追い込まれた経営者を、筆者は何人か知っている。
残念だが、キャディのパートナーになったらその町工場はぜったい安泰とはいかない。加藤はこれまで、ふたつのパートナーの倒産を見てきた。
「売り上げの8~9割を、大手メーカー1社に依存していました。『これを作って』と言われたら何でも作る。それはすごい。でも逆に、自分たちの強みを分かっていない、ということです」
(文・中島隆)
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