柴崎と同学年のGK櫛引政敏も、期待の逸材として注目された存在だった。U-18代表から世代別代表に選ばれ続け、2016年のリオ五輪に出場したまでは良かったが、J1クラブでのレギュラー定着には至らず、2017年からJ2に舞台を移している。
その櫛引以上にGKとして強烈なインパクトを残したのが、ビッグセーブ連発で第95回大会での青森山田の選手権初優勝に大きく貢献した廣末陸だった。U-18、U-19代表にも選ばれていたが、FC東京では出番を得られず、さらにレンタル移籍したJ2(山口、町田)でも出場機会なしに終わり、今季はJFLの青森でプレー。まだ23歳で選手寿命は多く残されているが、現在のところは高校時代の全国制覇から年々、下り坂のキャリアだと言える。
その反対に、高校時代は脇役で、ほぼ無名の存在だった藤本憲明は、卒業後にFWとして得点感覚に磨きをかけ、JFLからJ3、J2、J1と叩き上げで駆け上がってきた。しかし、そのサクセスストーリーも20代でストップ。ブレイクした大分時代には一部で日本代表入りを推挙する声もあったが、神戸移籍後に出番を失い、今夏の大型補強に弾き出される形で清水へレンタル移籍することになった。
ただ、「今後」を見据えた場合、日本代表入りの可能性を持っている選手は多くいることは確かだ。DF陣では、神戸で頭角を現した“雄叫びファイター”菊池流帆が現在24歳。類稀な統率力で高校ナンバーワンCBと謳われた藤原優大は19歳で、浦和から育成型期限付き移籍でJ2の相模原で奮闘中だ。MF陣では、2年生時に2冠獲得に貢献した郷家友太が現在22歳で、神戸でイニエスタの薫陶を受けながら絶賛成長中。
さらに3年時に10番を背負って選手権優勝に貢献した檀崎竜孔は21歳。札幌からオーストラリアリーグに挑戦した後、今季途中からJ2・千葉でプレーしている。そして、郷家、檀崎と同じく2年生時から主力として活躍したレフティー・武田英寿もまだ20歳で、浦和でJデビューを果たした後、今季途中からJ2・琉球への育成型期限付き移籍で鍛錬を続けている。この中では郷家が「順調な歩み」で、菊池が「這い上がって来た」が、その他の面々は現状、プロの壁にぶち当たっていると言える。