レギュラーシーズンは3位に終わり、クライマックスシリーズでもファイナルステージでヤクルトに敗れて3年連続の日本シリーズ進出を逃した巨人。これまでであれば優勝を逃すとFAで他球団から大物を獲得して強化を図るというのがお家芸となっていたが、一部報道ではFA戦線への参入は見送り、補強は外国人選手とトレードに絞るという話も出ているという。
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そしてここ数年取り組んでいるのが二軍、三軍の強化だ。昨年は12人、今年は10人と大量の選手を育成ドラフトで指名し、2023年を目標に新たな二軍の本拠地も建設中だという。今年は育成ドラフト出身の松原聖弥(2016年育成5位)がレギュラーをつかんだことも追い風となりそうだが、大量指名した中からソフトバンクの千賀滉大や甲斐拓也のように球界を代表する選手に成長する可能性を秘めた選手はいるのか。アマチュア時代のプレーぶりから候補をピックアップして紹介したいと思う。
昨年の育成ドラフトで入団した選手で一歩リードしているのが戸田懐生だ。開幕直後から二軍で先発ローテーションの一角に定着しすると、6月には早くも支配下登録を勝ち取っている。一軍での登板は3試合にとどまったもののいずれも無失点と好投し、二軍ではチームトップとなる8勝をマークした。170cmと小柄だが全身を使った躍動感溢れるフォームで上背の無さを感じさせないのが特長。しっかり腕を振って投げられるスライダー、フォークのコントロールも悪くなく、フィールディングなど投げる以外のプレーの上手さも目立つ。今年で21歳と年齢的に若いというのも大きな魅力だ。現在は140キロ台中盤程度のストレートのスピードがコンスタントに150キロ近く出るようになれば、十分に一軍でも戦力となる可能性はあるだろう。
2020年入団組でもう一人面白いのが木下幹也だ。世田谷西シニア時代から投打にわたって評判の選手で、横浜高校でも1年夏から公式戦に登板。3年時に目立った結果を残せずに育成ドラフトでの入団となったが、潜在能力の高さは早くから評価されていた大型右腕である。今年は三軍戦でチームトップとなる58回1/3を投げて防御率1.70、イニングを上回る59奪三振と見事な成績を残した。
最大の武器は打者の手元で鋭く落ちるスプリットだ。高い位置から腕を振って投げられるため角度もあり、ワンバウンドするボールを打者が空振りするシーンも目立つ。一方で課題となるのはストレートだ。アベレージは140キロ前後で、二軍の中でも少し見劣りするのが現状である。ただ必殺の決め球があるというのは大きな魅力であり、ストレートに力がついてくれば一気にブレイクすることも期待できそうだ。