ソフトバンク千賀滉大(左)と甲斐拓也はまさに育成の星
ソフトバンク千賀滉大(左)と甲斐拓也はまさに育成の星

 今年の育成ドラフトで指名した10人の中で最もスケールの大きさを感じるのが京本眞(明豊・育成7位)だ。明豊ではエースとして春夏連続で甲子園に出場。夏は初戦で専大松戸の深沢鳳介(DeNA5位)に投げ負けたものの、最速146キロをマークしたストレートと下半身の充実ぶりは春からの大きな成長が感じられた。190cm近い長身ながらバランスが良く、フォームに目立った欠点がないのが大きな長所。夏は故障明けだったということを考えると、まだまだスピードアップすることも期待できる。支配下でも6人の投手を指名しているが、彼らと比べてもポテンシャルの高さは決して劣っていない印象だ。

 一方の野手では鈴木大和(北海学園大・外野手・育成1位)、大津綾也(北海・捕手・育成10位)の2人が面白い。鈴木の武器は何といってもそのスピードだ。右打者ながら一塁到達タイムは左打者で俊足と言われる4.00秒を切り、セーフティバントでは3.6秒台もマークする。とにかくトップスピードになるまでが速く、外野手としての守備範囲の広さも目立つ。打撃には課題が残るが、新たな足のスペシャリストとして期待できる人材だ。

 大津の魅力は強肩で、2.00秒を切れば速いと言われるセカンド送球ではコンスタントに1.8秒台の前半をマークする。選抜では課題となっていたブロッキングも夏にはレベルアップしたところを見せ、チームの春夏連続甲子園出場にも大きく貢献した。鈴木と同様に打撃はもうひとつだが、捕手として最も重要な肩という武器があるだけに、それをアピールしてまずは二軍での正捕手争いに加わりたい。

 以前と比べても高校生の指名が増え、また一芸に秀でた選手が増えているところに大きな変化を感じられる。今回紹介した選手の中から次代の“育成の巨人”を担う選手が輩出されることも十分に期待できるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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