景気をよくするための最大のエンジンは個人消費です。消費が冷え込んでいる時に、強制的な物価の引き上げである消費税を課すのは、経済政策として失格です」
──代替策は?
「消費税10%をゼロにすると、年間約26兆円の減収になる。所得税の累進制を強化したり、法人税にも累進課税を導入したりして超富裕層から頂く方法もありますし、国債を発行する方法もある」
◆次の野党共闘は無条件ではない
──コロナの第6波に備え、急ぐべき対策は?
「保健所が、しっかりと積極的疫学調査ができる体制を担保しなければなりません。政府は90年代からの緊縮財政で保健所の人員も減らし、その結果、被害を拡大させた。保健所の機能と人員を充実させないと対応できません。また、感染症対策の基本は検査体制の拡充です。PCR検査を全国のコンビニで受けられるくらいの勢いで増やさなければならない。希望する人には、週に2回でも3回でも無料で受けられるようにするべきです。
資格を持っていながら臨床の現場で働いていない潜在看護師の掘り起こしが言われていますが、ただ現場に戻ってきてください、では無理です。まずはボーナスとして100万円くらい出す。他にも医療従事者や、介護従事者などにも経済的ケアは必須です。拍手なんか送っても何の役にも立ちません」
──最後に、来年の参院選に向けて野党共闘はどうあるべきですか。
「選挙区で1対1に持ち込むという戦術は、正しいと思います。大きな勢力に、小さな勢力が立ち向かうにはそうするしかありません。しかし、私たちは、参院選での野党共闘には無条件では入れない。やはり、この国を救うために、消費税の廃止、何百兆円レベルの財政出動をするという大胆な政策を、勇気を持って打ち出せるかどうか。そこにかかっています」
(構成 本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2021年11月26日号