1年間の中国赴任を終え、定年退職した岡庭さん。仕事が忙しかった分、地域ボランティアや神社の氏子など、やれることを何でもやっているという。大学で学びなおしたいという気持ちもあり、立教セカンドステージ大学に入学し、没イチ会に出合った。

「妻が亡くなった時のことは、経験したことがない人の前では言えないし、言う気もありませんでした。だから『没イチ会』は傷をなめ合うような会かもと思っていました。でも同じ境遇の人と話してみたかったので参加したら、みんな明るくて楽しかったんです。没イチのことも、それ以外のことも話しているうちに気持ちのひっかかりがとれてきた気がします」(同)

 地域活動や大学での学びは、妻を失う前からやろうと考えていたことだが、妻がいたら思う存分活動できなかったかも、と思う時があるという。

「妻が亡くなってできなくなったこともあれば、できるようになったこともある。プラス面に目を向けてみるのも大事ではないでしょうか」(同)

 妻に対する心残りはあるが、それよりも今できることをやりたいというのが岡庭さんの考えだ。

「妻とは生前、時間をつくっては旅行や美術館、コンサートに行くなど、仲良くいろんなことをやっていたから、今もいい思い出が頭の中に残っています。失って初めてわかることも多いので、いまパートナーがいる人は、今のうちにいろんなことを楽しんだほうがいいと思います」(同)

(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2021年11月26日号より抜粋

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