現在の高校野球界の盟主と言えばやはり大阪桐蔭になるだろう。西谷浩一監督が就任してから甲子園で春夏合計7度の優勝を誇り、2018年には史上初となる2度目の甲子園春夏連覇も達成している。今年は選抜高校野球では1回戦、夏の甲子園でも2回戦で敗れて珍しく上位進出を逃したが、秋の新チームでは近畿大会を制して変わらぬ強さを見せている。
そんな大阪桐蔭の凄みはただ高校野球で結果を残すだけでなく、プロでも第一線で活躍する選手を多く輩出しているところにある。主な現役選手としては中村剛也(西武)、中田翔(巨人)、浅村栄斗(楽天)、藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)などで、この5人については個人タイトルも獲得している。
しかし藤浪はここ数年停滞し、中田も今年不祥事もあって大きく成績を落とすなど選手として過渡期を迎えており、完全なレギュラーに定着した大阪桐蔭OBは2013年のドラフト1位でプロ入りした森が最後となっている。そろそろ次代を担うOBが出てきてほしいところだが、その筆頭として期待したいのはやはり藤原恭大(ロッテ)になるだろう。
2年目の昨年はシーズン終盤に一軍に定着して25安打、3本塁打をマーク。今年は開幕から不振で二軍での調整が長くなったものの、夏場には調子を上げて7・8月度の月間MVPを受賞するなど前年を上回る47安打、5本塁打という成績を残した。高校からプロ入りして3年目ということを考えると決して悪くはない数字だが、入団時の期待の大きさと、同学年で今年ブレイクした小園海斗、林晃汰(いずれも広島)、野村佑希(日本ハム)の活躍と比べると少し物足りなさを感じるというのもまた事実である。
特に気になるのがバッティングの好不調の波が大きいところだ。前述したように7月と8月は見事な成績を残したが、ケガの影響もあり9月以降は再び極度の不振に陥り、クライマックスシリーズでも守備固めと代走での出場に終わっている。また一軍の左投手に対してはまだ自分のスイングができていないシーンも目立つ。選手としてのタイプは少し違うものの、シーズン終盤は同学年で同じ外野手の山口航輝の方が首脳陣の信頼を得ていたことは間違いない。抜群のスピードと迫力のあるフルスイングは大きな魅力だけに、打撃の確実性をアップさせて来年こそは不動のレギュラー定着を目指してもらいたい。