AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:大学院で研究者見習いをしています。そこそこうまくいっていますが、本当はアイドルになりたかったんです。なれなかった現実を今でも受け入れられずにいます。家庭の事情などもあり、それがなければ今の人生じゃなかったかもと思ってしまいます。今の人生をどこか余生のように感じています。(女性/研究者見習い/28歳/うお座)
A:これはある種、究極の問いですよね。どっちが幸せなんだろうって。占いを通じて僕はいろんな人の人生に触れてきましたが、すごいスタートダッシュで自分のやりたかったことをかなえた人もたくさん見てきました。でもその人生の初舞台で浴びた光の強さが強すぎて、あとの人生で燃え尽きてしまうこともあるし、普通の人以上にセカンドキャリアについて奮起しなければいけない場合もある。一方であなたが「余生」という素晴らしい言葉を使っているように、どうしてもやりたかったことができなくて、でもたまたま縁があって流れついた先で成功する人もいます。
個人的な考え方だけど、僕はどの道に進んだとしても、幸せとマイナス、光と闇は同じ程度あるものだと考えています。人生って、半分は自分で決められるけど、残りの半分はご縁がなければ参加できないものだと思うから。
当然人生の初期は、自分のやりたいことやかなえたい夢、自分が直接選ぶもののウェートが大きい。可能性やチャンスがわずかでもあるならば、そこに全力投球してチャレンジすべきだとも思います。
ただ、大人になるに従って、自分で選ぶよりも誰かが声をかけてくれたり、たまたま自分に巡ってきた縁のほうが大事になると思うんです。
条件が課せられた仕事の中では、相手の期待以上のものを残した人が評価されます。それはどの人も共通することで、ミュージシャンとして成功している人は、誰よりもお客さんと対話している。もしかしたら自分が好きな曲なんか一曲も歌ってないのかもしれません。僕は大人になってから、ライブに行ってもそういう視点で見るようになりました。プロはその日その場所に集まった人たちを笑顔にするために、血のにじむような努力をします。だから僕はライブに行くと本当に感動して、自分もいま縁のある物事を絶対におろそかにしちゃいけないという思いで家に帰ってくるんです。