シンは自分で財を築いたという自負が、より強くて、他のレスラーを卑下している部分もあったけど、物腰の柔らかさも持ち合わせていたね。彼はいつも「飛行場に着いて、タクシーに『タイガー・ジェット・シンの家まで』と言えば、俺の家に着くんだ」と自慢していて、それをことあるごとに話すんだ。もう何百回と同じ話を聞かされたよ(笑)。それだけの富を築けたのは新日本プロレスと全日本プロレスのおかげだろうとも思うが、自分で成し遂げたことを自慢したかったんだろう。当時、聞いている方としたら「何言ってんだ……」とあきれていたけど、それだけの財を築いたことを考えると、今の俺は身につまされる思いだよ(苦笑)。

  そんなシンは、プロ意識が強すぎるせいか、まさにイメージ通りのこともやっていた。全日本プロレスが飛行機で移動するとき、先に日本人レスラーが奥に乗って、外国人レスラーを前に乗せようと思って、ジャイアント馬場さんや俺たちが先に搭乗口で手続きをしていたんだ。そこへ突然、上田馬之助とサーベルを振り回すシンが襲いかかってきた! 空港の搭乗口だぞ!? ターバンを巻いてサーベルを持った男が「○▲※□+#~!!!」とわめきながら暴れてるもんだから、空港のスタッフは大パニックだよ! 馬場さんも思わず後ずさりしていたもの。それから、馬場さんが怒る、怒る! 「シンの野郎、あいつはバカか! いつでもどこでもかかってきやがって!」って。今だったら大問題だよ!

  シンはいつもサーベルを機内に持ち込んでいたからね。「これは俺の商売道具だし、剣先を丸くしているから問題ない」って、毎回空港のスタッフを説き伏せてさ(笑)。

  日本人レスラーでイメージとギャップがあるのは……真面目そうな三沢光晴が実はスケベ、というのは、読者の人の方が詳しいかもしれないな(笑)。俺や三遊亭円楽師匠と一緒におネエちゃんがいる店に行くと、俺たちは大声でガーガーしゃべっているんだけど、三沢は大人しく、ポツリ、ポツリと話すんだ。そうすると、おネエちゃんたちは聞き逃さないように三沢の話に集中する。そうなったら、もう三沢のペースだよ。あいつは話のマクラが長いんだ!(笑)。そうやって、おネエちゃんたちの気を引いて、後日デートしたりとうまくやっていたみたいだ。おっと、これは三沢が結婚する前の話だぞ!

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