最大震度5弱を観測した和歌山県御坊市。地震の影響で市役所の窓にヒビが入り、テープで補強された/12月3日
最大震度5弱を観測した和歌山県御坊市。地震の影響で市役所の窓にヒビが入り、テープで補強された/12月3日
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 本州で立て続けに発生した地震。そして、トカラ列島でも地震が起きた。相次ぐ地震は、近づく南海トラフ地震と関係があるのか──。AERA 2021年12月20日号から。

【図解】日本列島を取り巻く4枚のプレートはこうなっている!

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「寝ていて跳び起きました。人生で一番大きな揺れでした」

 山梨県大月市に住む男性(30)は、興奮気味に振り返る。3日午前6時37分ごろ、同市を震度5弱の地震が襲った。ガタガタと5秒近く揺れた後、「ドン」と下から突き上げられる衝撃を受けたという。

 その約3時間後の午前9時28分ごろ、今度は和歌山県中部の御坊(ごぼう)市で、同じく震度5弱の地震を観測した。立て続けに発生した二つの地震は、活火山の富士山と南海トラフ地震の想定震源域周辺で発生したことから、緊張が走った。

■同じプレートが原因

 だが気象庁はその日のうちに会見を開き、因果関係を否定した。山梨の地震は「富士山の観測データに特段の変化はない」とし、和歌山の地震も「南海トラフ地震が起きる可能性には影響しない」との見解を示した。

 ただ、立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)は、こう述べる。

「まず注意したいのは、山梨と和歌山で起きた地震は別々の地震ではなく、フィリピン海プレートが引き起こした地震という意味では同じ。一連の動きと考えていいということです」

 日本列島は北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートの4枚のプレートがぶつかり合う上に位置している。

 高橋特任教授によれば、国土地理院の電子基準点を使った観測結果から、8月ごろから太平洋プレートが活発に動き始め、フィリピン海プレートを押しているのが見て取れる。その結果、ユーラシアプレートが圧迫されて山梨の地震が起き、そのプレート内部で岩盤が壊れ、和歌山の地震が発生したという。

「さらに、二つの地震が起きる前日の12月2日に、茨城県南部を震源に地震が起き、東京でも震度3を観測しました。これらの地震はいずれも、直接的原因となったのがフィリピン海プレートです」(高橋特任教授)

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