西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、西武・松井稼頭央監督とロッテ・吉井理人監督にエールを贈る。
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日本シリーズを戦うヤクルト、オリックスをのぞく10球団は、すでに来年の巻き返しへ動き出している。セ・リーグ、パ・リーグで4球団が監督を交代した。阪神は岡田彰布監督が64歳で復帰したが、それ以外は広島が新井貴浩監督(45)、西武は松井稼頭央監督(47)、ロッテは吉井理人監督(57)が新監督として就任した。
特にパ・リーグの2人は、私にとって非常に感慨深い。まずは松井稼頭央。私が西武監督に就任した1995年に1軍に抜擢し、どんなに失策しても使った。身体能力は折り紙付き。監督1年目から69試合に使った。そのオフ、土井正博・打撃コーチからスイッチ転向を勧められた。右打席だけでもパンチ力があり本塁打も打てる。投手出身の私の目から見て、左打席で当てるような打撃をしたらもったいないとも思った。最終的にGOサインを出したが、96年のキャンプでは死球を避けるコツを身につけさせるため左打席の稼頭央に肘当て、レガースをつけさせ私が投手役で稼頭央の体めがけて投げたのを覚えている。彼には全試合、遊撃手を務めてほしかったから、死球で離脱してほしくない。本気で稼頭央の体に投げ続けた。
西武時代からミスや打てない時に引きずってしまうタイプ。スイッチヒッターは、左打席で駄目でも、右打席では変わることがある。だから、気持ちの切り替えが肝心なのだが、それでも自分の中でもがいて結果を出し、自信に変えた。2009年のアストロズ時代、日米通算2千安打で名球会のブレザーを手渡すため、米国に行ったのもいい思い出だ。日本球界に復帰する際には、「自分が将来どうなりたいかをしっかり考えた上で決断を」とアドバイスした。私にとって教え子といえる選手が監督に就任する。2月のキャンプでは、ぜひ激励したい。