失敗はしてもいい。失敗を味方につけよう ※写真はイメージ (c)GettyImages
失敗はしてもいい。失敗を味方につけよう ※写真はイメージ (c)GettyImages

 うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。

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 私の息子は、「そろタッチ」という、iPadで両手を使いそろばんをするという習い事をしています。

 ところが先日、突然ぽつりと、「やめたい」と言いだしました。

■息子が習い事をやめたいと言った理由

 一体どうしたのかと理由を尋ねると、「問題を間違えるのが嫌だ」という返事。授業を進めてレベルが上がっていくと、どんどん難しい問題が出てきて、それゆえに間違いもたくさん出てきてしまうというのです。

「周囲の子は正解しているのに、自分は間違っている」ということが、すごく悔しいような、恥ずかしいような、嫌な気持ちになる、とのこと。

 私はこのように、「嫌な気持ちになること」こそ、物事を上達させるための非常に重要なモチベーションになると確信しています。

 間違えてもまったく何も感じず、できなくても、「別にいいや」と思っていたら、「がんばろう」という強い意思は湧いてきません。 

 失敗や挫折をして、「こんな順位をとって悔しい」「できなくて恥ずかしい」といった気持ちを強く抱くことで、「良い点をとってやろう」「もっと上を目指そう」という思いが出てくるのです。

 率直に言えば、失敗や挫折こそが、自分にやる気のブーストをかけられる大きなチャンスなのです。

■悔しい思いをバネに大成功した経営者

 たとえば、世界最大規模の航空貨物運送会社であるフェデックス・エクスプレスの創始者フレッド・スミス氏は、若い頃から、どのように荷物を配達するかという仕組みを頭の中に思い描いていました。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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