筆者の場合、エンタメ系の情報はたくさん表示されるが、スポーツ関連の記事はほとんどおすすめされたことがない。対して、野球好きの友人のスマホを覗けば、野球記事がずらり。関心の高い情報が並ぶためついのめりこんでしまう。ヤフーはこのことについて、特定の記事に対し、「文脈・論調の異なる記事が表示されるため、思想などが偏ることはない」としている。

 一方、情報の偏りはコメント欄でも起こりうると懸念する声もある。

 ネットの誹謗中傷問題に詳しい国際大学GLOCOMの准教授でヤフーの外部有識者会議「プラットフォームサービスの運営の在り方検討会」で委員も務める山口真一さんは説明する。

「ネット上に表示される情報は一方向に行きがちな側面があります。エコーチェンバーとも言いますが、保守に有利なニュースは保守の人が見るので、その記事の上位につくコメントは保守にとって有利な内容になる。リベラルなものもあるかもしれませんが、その記事を見る人は支持しないので、上位に浮かんでくることはありません。逆の場合も同じことが起きています」

 そもそも、ネット上では強い主張がある人ほど、投稿しやすいという。その傾向は、ニュースのコメント欄とSNSどちらにも共通する。「いじめ」の記事では、いじめに対して強い意見を持つ人の声があふれた。

 一つの記事において、両論が並ぶことはほとんどないという。

「両論が上にくるようにシステムで対応できないかと提案していますが、現状では難しいようです。結果として、明らかな誹謗中傷などの違反コメントは削除されても、一方向の過激的なコメントが多く残ってしまう状況です」(山口さん)

 誹謗中傷対策の強化としてヤフーでは、悪質なユーザーへの投稿停止措置や記事単位でコメント欄を閉鎖する機能を10月に導入。小室眞子さんと圭さん夫妻に関する記事や韓国についてのニュース記事など、100件以上のコメント欄を閉鎖した。

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