誹謗中傷など不適切なコメントについても、AIと人力で確認。一日約32万件投稿されるコメントのうち、約2万件を削除しているという。過激なコメントが残っているという指摘には、「表現の自由などの観点から試行錯誤している」(同社広報担当者)と回答。コメントの表示方法は、「内容が建設的か、記事に関連しているか、読んだ人が不快に感じないかを軸にAIが判断しています」と、三つのモデルがあることを説明する。このうち、建設的かどうかのスコアが高いものが上部に表示される仕組みだという。

■偏らないアルゴリズム

 自ら情報を選び取っているつもりでも、気づけば井の中の蛙になっている。でも興味がない出来事を検索するのもハードルが高い……。そんな状態からの脱却を手助けするかのように、ニュースアプリ「スマートニュース」はアメリカでこんな取り組みをしていると、朝日新聞GLOBE+の2019年5月の記事が報じている。

「興味関心にかかわらず、政治については、リベラルと保守の量のバランスを取って表示をするアルゴリズムにした。その結果、保守層とリベラル層、どちらのユーザーに対しても、保守層が好みそうなニュースとリベラル層が好みそうなニュースの両方が表示されるようになった」

 この「偏らないアルゴリズム」は読者にも好評だという。ただ、アメリカほど分断されていないとして、この機能は19年時点では日本未導入としている。

 現時点の機能について同社に問い合わせたが、「これ以上のアルゴリズムの詳細の公表はしていない」(広報担当)とのことだった。

 ネットの情報とうまく付き合うには、どうすればいいのか。山口さんはこうアドバイスする。

「簡単に情報が得られるようになり、一つひとつを咀嚼する時間が減っています。情報を深く考えずに取り入れるということは、万人に起きています。だからこそ、情報を知るのではなく考えることが大切になってきます」

(編集部・福井しほ)

AERA 2021年12月20日号

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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