初当選を決めて万歳する泉健太氏。左は母親の博子さん/2003年11月9日、京都市伏見区
初当選を決めて万歳する泉健太氏。左は母親の博子さん/2003年11月9日、京都市伏見区

 確かに枝野前代表、福山哲郎前幹事長の世代が、これまでの政界では若くして政権の中枢を担い、今も現役です。今回、枝野前代表が代表職を辞されたのは、選挙結果の責任を取るという意味合いもありますが、ある意味で「次の世代やってみろ」というエールだと私は受けとめています。だからこそ、安易に先輩方にすがるのではなく、次世代で新機軸を打ち出し、努力する必要がある。どこかで大胆に任されて、先輩方も育ってこられたと思うので、私も同じように思いきって、新しいメンバーに任せたい。私は、次世代は力をためてきたと思います。

民の生活を豊かにする

──泉代表の政治信条は?

 一言でいえば「民のかまど」を温めたい。これは仁徳天皇の言葉の一部なのですが、私は非常に共感を覚えます。国民生活の活気こそが私の望みで、国家権力はもちろん、中央集権を強化することではない。その意味合いの中で、例えば所得税の累進性を高める、金融所得税の課税の話なども出てくる。そして、税制については再分配機能を高める。

「民の生活を豊かにする」視点に立てば、子育て分野の負担軽減は重要です。給食費の無償化、高等教育における私費負担の削減。貸与型奨学金と給付型奨学金の割合の逆転。児童手当も拡充させたいと思います。

──代表選では、原発について「再稼働を一部容認」の立場でした。原発政策については後退なのでしょうか?

“枝野前代表とは若干違う”ことはないと思います。変わらないです。立憲民主党としては、原子力発電に依存しない社会を一日も早く実現していく。私は「スローガンで争っても意味はない」と思っています。民進党時代に、党の原発政策をめぐって「2030年代にゼロ」にするか「2030年にゼロ」にするのか党内で論争した。当時から力を注ぐのはそこではなく、一日も早くその社会を実現するために具体的行動を起こすということが必要です。

 立憲民主党の環境エネルギー調査会では、太陽光と風力を大幅に引き上げるという考え方で、2030年にはこうした再生可能エネルギーを50%にするのが目標です。政府の考え方は再生エネルギーに関しては36~38%。原発がベースロードですよね。私たちは残りの50%は当面LNGを中心に石炭火力をなるべく減らし、原発もできれば使わない方向ということを最大限追求していくということです。

(編集部・中原一歩)

AERA 2021年12月27日号より抜粋