(AERA 2022年1月3日号-1月10日合併号より)
(AERA 2022年1月3日号-1月10日合併号より)

 では、避難の際、階段が使えなければどうすればいいのか。

「飛び降りるのは危険です。階段が使えないときは、窓からロープやシーツを垂らして下りることも可能。バルコニーがあれば、蹴破って隣室に避難することもできます。とにかく諦めないことです」(山村所長)

 36人が死亡した2019年の「京都アニメーション」(京都市)放火殺人事件。この事件を受けて、京都市消防局は大規模火災を想定した「火災から命を守る避難の指針」を取りまとめ、ホームページで公開した。

 指針によれば、避難を呼びかける際は「火事だ!」「こっちだ!」など大声で具体的な声かけをするのが重要だ。煙が広がらないよう、出火フロアの階段室の扉を閉めることも大切だという。同局総務課の担当者はこう説明する。

「大切なのは、火災を発見したら即行動すること。煙を吸わないよう、すぐに避難行動を取ってください」

 指針をもとに同局は「火災から命を守る避難計画作成のための対策チェック表」を作った。「火災を知らせる機器が設置されていますか?」「避難器具の使い方を知っていますか?」「ぶら下がり避難ができそうな窓・ベランダはありますか?」など19項目ある。

「全ての人が日ごろからチェックして備えてほしい」(担当者)

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年1月3日-1月10日合併号より抜粋

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼