ただ、一抹のさびしさも禁じ得ない。聖子の芸能界デビューは歌手ではなく女優で、79年12月、連続ドラマ「おだいじに」(日本テレビ系)に出演した。筆者はそれを見てそのかわいさにひと目ぼれしてしまい、ファンになったという経緯がある。それから42年、彼女には同世代はもとより、史上最強の芸能人となることを期待してしまうのだ。今年の「紅白」は、さすが聖子という別格ぶりも見せつける機会でもあった。それだけ、娘に先立たれたつらさは、彼女にとって堪えがたいものなのだろう。

 さらにさびしいのは、これで聖子がおばあちゃんになることもなくなったことだ。ママドルを超えた「祖母ドル」として輝く姿ももう見られないのである。

 せめて、35年に及んだ彼女の「ママドル人生」に敬意を表し、お疲れさまという声をかけたい。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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